滋賀県東近江市の石材店「ストーンメーソン真」の、丈夫なお墓づくり。その2
丈夫なお墓づくりは、その1だけではありません。
石の据付にも、お墓を丈夫にするための工夫があります。
丈夫なお墓造りのための工夫
- 基礎と石の設置する部分を荒らす。
石と基礎ベースの固定は、一般的には、モルタル(セメントと砂と水で混ぜ合わせたもの)で
固定するというのがほとんどです。当店でも主に先代の時には、そのようにしていました。
しかし、石をモルタルで抱かせてしっかりと固定していないと、長い年月をかけて、ずれてしまうことがあります。
それを防ぐために、当店では、10年ほど前から、その接地面を荒らすことを始めました。
石と基礎の接地面を荒らすと、なぜズレ防止になるのか?また、なぜズレるのか?
ずれる原因は、据付ける石や基礎の摩擦係数が少ないからです。
現代は、石を切る機械が発達し、きれいに真っ直ぐ切ることができます。
真っ直ぐ切れると、石を据付けるのも簡単です。また、さらに据付けやすくするために、
基礎もしっかりと水平を出し、平らに仕上げます。とても据えやすくなり、
作業効率も上がり、価格に反映することができ良いのですが、
しっかりとモルタルで石を止めておかないとズレの原因となります。
そのズレを防ぐために、当店では、石の裏(基礎との接地面)を一部分わざと荒らし、
摩擦係数を上げて、ずれ防止をはかっています。(もちろんモルタルでしっかりと固定もします。)
このひと手間が、丈夫なお墓をつくる秘訣です。

- 耐震ボンドを使う。
石と石の接着には、必ず「石材専用の耐震ボンド」を使用します。
なぜ石材専用なのかというと、油シミ等を防ぐためです。
石は呼吸しているため、水分を吸ってしまいます。当然油分も吸います。
石材専用は、石材に影響を及ぼさないように、ボンドの脂分を調整されて作られています。
ですので、石材専用の耐震ボンドでないといけないのです。
またボンドの使い方も重要です。しっかりと石を乾かしてから使用します。
湿っている石材では、ボンドの威力を発揮できないのです。
- 耐震金具を使う。(ステンレス製のウェッジ式アンカーとL型金具を使う)
外見から見えなくなるところ(巻石や四つ石)には、耐震ボンドと併用して、
耐震金具を使います。耐震金具は必ずステンレス製のものを使います。
鉄製のものは、錆びてそれが石に浸透し、石の変色につながるので、
必ずステンレス製のものを使う必要があります。
また、固定するアンカーの種類も3種類ほどあります。
※アンカーも必ずステンレス製のものを使います。
ウェッジ式、打ち込み式、ねじ込み式とありますが、強度的に強いものはウェッジ式と
データで出ています。
石は重量物であり、地震等で石に動きが出るとその重量の分、さらに強い動きとなります。
ですので、引っ張る力が強いウェッジ式のアンカーを使う必要があります。

次年度から、このL型金具も従来のものより、3倍強度のあるものを使う予定です。
今回もお客様には一切見えない工事の内容です。
この工事もほんとうに重要なのです。
見た目が全く同じでも、石材店によって見積価格が違う。
高い方の石材店は、多く利益をとっているのか?
そうではなく、工事等に違いがあるのかもしれません。
お墓の形や見積価格だけでなく、工事の内容も第一に考えて、
選ぶ必要があるんです。工事の違いは数年後にじわじわと現れてきます。
先祖代々継いでいくお墓。
大切なものですので、丈夫なお墓を建てていただきたいと思います。
記:石井 眞澄
