石造物にも台風被害があるんです。風に弱い石造物とは?
先日の台風21号。とても風の強い台風でした。
私の経験の中でも、これだけ風の強い台風はなかったのではないでしょうか。
当地域でも、瓦が飛んだり、倒木、建物の倒壊などかなりの被害が出ました。
しかし、風で被害が出るのは、それだけではなく、
石造物にも被害が出ていました。
なぜ倒れるのか?
その1、石に対する風の角度と風の当たる面積
まず、第一に、その石造物に対する風の角度と、風の当たる面積によります。
石材ですので、石の重みで耐えれるように感じますが、
今回のような風の強さだと、ものによっては石材の方が負けてしまうこともあります。
石造物に対してまともに風を食らう角度で、風の当たる面積が広い場合です。
その2、その石造物の重心
風がまともに当たり、当たる面積が広くても、その石造物の重心が下部にあれば、
倒れにくくなります。上の写真のものは、直方体のもので、重心が真ん中にあります。
普通では倒れないかもしれませんが、
今回のような風だと、一度傾きだしたら、重心は元にはもどらず、
写真のような結果になってしまいます。
その3、施工はちゃんとできているか?
一番下の写真ですが、昭和初期に造られたものらしいです。
ノロ(セメントを水で溶いたもの)で施工されていましたが、
おそらく、長い年月が経過し、接着効果はなかった(縁が切れていた)と思われます。
また、必要な部分にノロが入っていなかったことも原因だと思われます。
結果はどうなっていたかわかりませんが、必要なところにしっかりとノロが充填されていれば、
結果は違っていたかもしれません。
風に注意すべき石造物
石造物は、歴史を感じ、歴史を知ることができ、未来への大切な贈り物なのですが、
注意も必要です。
古くからあるもの
古い石造物は良いものなのですが、、現代のような施工をしているわけではありません。
歴史的建造物のため、当時のままのものもたくさんあります。
気をつけて、鑑賞していただきたいものです。
霊標(墓誌)
霊標(墓誌)は、関西では、それを持ち帰り字彫加工するのが主流です。
石を欠かさずに持ち帰るには、しっかりと固定することはできません。
だいたいの霊標(墓誌)は、簡単にいうと置いているだけのものがほとんどです。
3㎝位の溝に挟みこんで固定しているだけです。
それだけでは、今回の風では負けてしまうのです。(一番上の写真)
※風や地震対策用の霊標(墓誌)もございます。
今年は特に台風が多く発生しています。
また、毎年台風は日本に来ているので、
今後、上記のようなことも気をつけていただきたいと思います。