その家オリジナルのお墓。良いお墓を造るにはお客様に汗をかいてもらう必要があります。
洋墓やデザイン墓ではないオリジナルのお墓。
お客様が、こんなのが良いとイメージして、少しずつ形を作っていきます。
今回のお客様も、オリジナルのお墓をご希望でした。
しかし、良いお墓を造るには、石材店任せでは満足いくお墓になりません。
お客様に汗をかいてもらうとはどういうことか。
ぜひ読んでいただきたいと思います。
第一段階 お客様のイメージを図面にする
まずは、お客様のイメージを図面にします。
イメージをどうやって作るかというと、人それぞれですが、
ネットなどで、お墓の写真やその他の造形物を見て、
ひらめいた形を作っていくのが一般的ではないでしょうか。
今回のお客様も、予算を考慮しながら、いろんなものを参考にしたり、
お客様自身の感性を交えながら、イメージを作り出されました。
ただ、そのイメージを図面化するのが実はなかなか難しいのです。
なぜかというと、人それぞれ感性が違うからです。
イメージを打合せして、図面化しても、石の大きさ、配置等、
そのお客様の感性に合うとは限りません。
人それぞれ違うので、感性を合わすのは難しいのです。
そのイメージ通りにするには、何回も修正してイメージに近づけていくしかありません。
しかし、たいへんな時間が必要となります。お客様も大変な精神的、肉体的疲労が生じると思います。
それを軽減するには、お客様自身が設計士になることが必要です。
※資格を取る必要はありません。ペンと定規等を使ってイメージを形にします。
たくさんの打ち合わせを重ねるより、はるかにお互いに負担は軽減されますし、
お客様のイメージをより的確に図面化でき、最終的に良いものができます。
当店は、設計士(お客様)のアシスタント(当店)になるような形です。
設計士の手書き図面をCAD図面化したり、設計上、加工上のアドバイスをしたり、
良いものができるお手伝いをする仕事をします。
第二段階 石の種類を決める
今回のお客様は図面段階で石種も決めておられましたが、
形が決まると次は石選び。
石の色によって、お墓の雰囲気がガラッと変わります。
一般的に、
仏様とお話したり、明るい気分になりたい方は暖色を選ばれる傾向にあります。
心を落ち着かせて整然とお参りしたい方は、
施工例の多い濃い石や白系の石を選ばれる傾向があります。
もちろんいろんな石を組み合わせることも可能です。
だから、石の組み合わせなどを考えると、かなり多くのプランが出来る事になります。
ここでまた、お客様に設計士として動いてもらう必要があります。
どのような石を使うのか?イメージしている石はどんなのか?
必死に考えてもらう必要があります。
当店としては、アシスタントとして、石の説明等アドバイスをさせていただきます。
お客様に設計士として、色鉛筆等を持って、色目を考えていただきます。
この作業やっていると、案外楽しいものですよ。
最終的には、候補に挙がった案をアシスタントがカラー図面として出力します。
そうすることによって仕上がりがより明確になり、良いものが仕上がります。
第三段階 何をどのように彫刻するかを決める
一般的な和墓であると、だいたい彫刻するものは決まっています。
正面字(南無阿弥陀佛等)、建て年号や建立者の名前、家紋、家名、戒名(法名)です。
しかし、オリジナルのお墓をつくられる方は、
宗教にこだわりを持っておられなかったり、無宗教の方が多いです。
正面(主に)何を彫刻するのか。そのお客様によって様々です。
お客様と一緒に考えたり、アドバイスさせてもらったりして進めていきます。
今回のお客様は、桜と富士山を彫ることに決まりました。
そのご家族に思い入れがあるものです。
桜にも、人それぞれ好みのデザインがあります。
今までと同じように、人それぞれ感性が違うので、
お客様に設計士としてデザインしていただきます。
・まずは桜の花の形を選定。
・桜の花にも大きさがあります。その大きさも選定。
・どのように散りばめるか。お客様の良い感性を発揮して、散りばめてもらいます。
・彫刻した部分に色を入れるか入れないか。
色を入れると彫刻部分がはっきりとわかり、見やすくなります。
うっすらわかるほうが良い。彫ってあるのがわかるのが自分たちだけでいい。という方もおられます。
それを彫刻できるように原稿をつくるのが当店の仕事です。
石材工事は、当店におまかせ下さい。
完成写真は、こちらです。
大変ご満足していただけました。
それは、お客様といっしょになって造ったから。
お客様に汗をかいてもらう。
実際に現場で仕事をしてもらうわけではなく、
お客様がいわば設計士となって、作ってもらうことです。
ご自分で設計された、お墓はお客様にとっても当店にとっても
大変満足のいくお墓へと仕上がります。
また、自分たちが満足しているからこそ、仏様も喜んでおられるに違いありません。
良いお墓造りをなさってください。