京都の寺院墓地から滋賀県東近江市へお墓のお引越し。違う地域の墓石でも違和感なく調和がとれる方法があります。
もう何十年も東近江市にお住まいのお客様。しかし、故郷は京都であり、
当然、お墓も京都にあって、年四回欠かさずお墓参りに行かれてたそうです。
良いなあ!と微笑ましく聞いていました。
しかし、年齢的なことから、体の負担などが年々大きくなり、
今回お墓の引っ越しを当店にご依頼いただきました。ありがとうございます。
ご依頼時にこのような課題をいただきました。
・今あるお墓は背が低いので、東近江市の周りのお墓の高さに近づけたい。
東近江市の能登川墓地公園のお墓の大きさは、9寸角や尺角の3重台が主流です。
※9寸は約27㎝。尺は約30㎝。お墓の一番上の字の彫ってある石の幅です。
それに伴って、下の台石の寸法が比例して大きくなります。
しかし、このお客様のお墓は8寸角の2重台。※8寸は約24㎝。
墓石だけの高さだけで、40㎝から50㎝差が出ています。
左が能登川墓地公園の一般的な墓石の大きさ。
右はお客様の墓石の大きさ。
そのまま建てると、これくらいの差が出てくるのです。
今回、背の高さを近づけるために、このような方法をとりました。
- 巻石(お墓の囲い)の高さをあげる。
- 今あるお墓8寸2重台を8寸3重台にする。
巻石の高さを上げるにも限度があります。お参りしやすいように設計しないといけません。
住宅の階段は、よくあるのが20㎝の段差です。
お墓は年配の方も、良く使われます。それを考慮すると、
お墓の段差は、基本的には、高くても15㎝程度くらいにしておかなければなりません。
段の高さを15㎝にして、総高30㎝の巻石にすることにしました。
※能登川墓地公園で多い巻石の高さは、15㎝から20㎝くらい。
滋賀県や東近江市では3重台のお墓が主流です。
三重台とは、棹石の下に台石が3つあるお墓です。
墓石の引っ越しをして、まわりと合わせるには、3重台にする必要があります。
追加で、今あるお墓と同じ石(北木石)で台石を据付ました。
追加の台石も、バランスが崩れない程度で、極力背を高く設計しました。
このように完成しました。
左斜め後ろのお墓と比べても、そんなに大差は出なくなりました。
完成後、お客様にも喜んでもらえて、当店も嬉しい限りです。ありがとうございました。
ただ単に、お客様からいただいた課題をクリアするだけではいけません。
これからの使い勝手や、まわりとの調和を考えて建てる必要が、お墓にはあります。